北海道洞爺湖サミット:「数値目標なし」、各国紙「辛口」論評−−温暖化対策合意

  • 2008/07/12(土) 00:00:00

◇福田首相「指導力不足」指摘も/米紙「大統領の変化は花道」
 9日閉幕した北海道洞爺湖サミット(主要国首脳会議)は、2050年までの温室効果ガス半減の長期目標を各国が共有することで合意した。だが数値目標のない内容には、各国メディアの「辛口」の論評が目立った。

 ◆米国

 9日付ニューヨーク・タイムズ紙とワシントン・ポスト紙は、ブッシュ大統領の「SHIFT(変化)」との見出しを掲げた。温室効果ガス削減の長期目標に対し、米国が関与を初めて示したためだ。ポストは大統領の「変化」の理由を、気候変動の科学的な証拠や同盟国、議会多数派の民主党からの圧力と分析。政府高官らが、任期が残り少ない大統領の花道作りに腐心した結果と見ている。【ワシントン草野和彦】

 ◆ロシア

 各紙は「この数年で最も退屈なサミットだった」(コメルサント)などと酷評。理由については福田康夫首相の指導力不足を挙げる論評が目立った。ブレーミャ・ノボスチェイ紙は「温暖化問題は、食糧危機問題などのため2次的となってしまった」と断じた。【モスクワ杉尾直哉】

 ◆ドイツ

 独紙の多くは、温室効果ガス削減の長期目標に基準年が明記されていない問題などを詳細に報道。温暖化対策のため、政府が決定済みの脱原発を数年先延ばしすべきだとの問題提起も目立った。【ベルリン小谷守彦】

 ◆ペルシャ湾岸諸国

 カタールのガルフ・タイムズ紙は「洞爺湖のビジョンは、幻影にすぎない」と指摘。アラブ首長国連邦のガルフ・ニュース紙も「指導者が、問題を先送りしていることは明らか」と批判した。【ベイルート高橋宗男】

 ◆インド

 インド各紙は、温室効果ガス削減が経済成長を妨げかねないと懸念する論調が目立った。ザ・ヒンドゥ紙は、シン首相が討議の場で「我々は(温室効果ガス排出量の)量的規制を当面考慮できない」と述べたが宣言文に盛り込まれず、インドには不本意な合意だったと報じた。【ニューデリー栗田慎一】

毎日新聞 2008年7月12日 東京朝刊

温室効果ガス:「既存法での規制不要」 米EPAが報告書、対策先送り

  • 2008/07/12(土) 00:00:00

【ワシントン草野和彦】米環境保護局(EPA)は11日、温室効果ガス排出を既存の法で規制する必要はない、との報告書をまとめた。規制を強く促した昨年の連邦最高裁判決を受け、関係部局と協議をしてきたが、米国内の温暖化対策は新政権にゆだねられることになった。9日まで開催された北海道洞爺湖サミット(主要国首脳会議)の首脳宣言でも新たな数値目標はなく、温暖化対策に関してブッシュ政権は「時間を浪費した」(米紙)との評価が固まりつつある。

 昨年4月の判決で最高裁は、EPAは大気浄化法に基づき、温室効果ガスの規制権限があると認定。規制をしないならば、温室効果ガスが健康に悪影響がないことを証明するよう求めていたが、報告書には危険性は盛り込まれなかった。

 ワシントン・ポスト紙によると、草案には「法規制が必要」との内容もあったがホワイトハウスなどの要求で変更。排出削減に伴う公益を示す数値も極端に小さくされたという。

 温暖化の影響を矮小(わいしょう)化しようとする動きは、これまでも指摘されてきた。今月8日には、チェイニー副大統領のスタッフから専門家の議会証言内容の変更を求められたという、元EPA職員の告発も明らかになった。

 下院エネルギー自立地球温暖化問題特別調査委員会のマーキー委員長(民主)は同紙に「ブッシュ政権が、報告書に干渉するぐらいの労力を温暖化対策に向けていたら、地球はこんなにひどい状況になっていなかったかもしれない」とコメントした。

毎日新聞 2008年7月12日 東京夕刊